コラム
2026/3/28

日本展示会協会の報告によると、2019年に国内で開催されたBtoB展示会・見本市は603件、出展社数は77,041社・団体、来場者は約749万人に達しました。コロナ禍を経て市場は回復基調にあり、日本イベント産業振興協会(JACE)の推計では2024年のイベント関連産業の規模は9,797億円(前年比107.2%)となっています。しかし展示会・見本市に限れば2019年比で84.9%程度にとどまり、完全回復にはまだ距離がある状況です。
一方で、BtoBの購買行動は大きく変化しています。Googleの調査では、BtoB購買担当者の70%がリサーチから購入決定に至るプロセスで動画を視聴したと回答しています。さらに、営業担当者と初回の商談をする時点で、意思決定の57%がすでに終わっているとするデータもあります。つまり来場者は「ブースで初めて知る」のではなく、「事前に動画やWebで情報収集した上で来る」時代にシフトしています。
展示会におけるリードの平均獲得率はブース来場者の5〜10%、そこから実際の商談に進む割合は1〜5%が相場です。この数字を引き上げるには、「事前にティザー動画で集客し」「当日はブース映像で足を止め」「事後にフォロー動画で商談化する」三段活用が有効です。
ヴァリューズの調査によれば、過去3年間のBtoB展示会出展回数は1〜3回が全体の約7割を占めています。特に四国・岡山の中小BtoB企業にとって、展示会は年に数回しかない貴重な対面接点です。1回あたりの出展費用(出展料+ブース装飾+交通宿泊+人件費)を回収するには、限られた出展機会から最大限の成果を引き出す必要があり、動画はそのためのレバレッジツールです。
展示会に動画を取り入れることで得られる効果は、見た目の華やかさだけではありません。営業効率と投資回収の両面で、具体的な改善が期待できます。
1つ目はブース通過者の足止め効果です。展示会場の通路を歩く来場者は、数秒で「このブースに立ち寄るか否か」を判断しています。モニターで映像が流れているブースは人の視線を自然に集めやすく、スタッフが他の来場者と商談中でも動画が「無人の営業マン」として機能し続けます。2つ目は説明工数の削減です。商品デモ動画をループ再生すれば、スタッフが来場者一人ひとりに同じ説明を何十回も繰り返す必要がなくなります。限られた人数で多くの来場者に対応できるようになり、結果としてブースで獲得できるリードの数が増えます。特に四国・岡山の中小企業は、展示会に派遣できるスタッフが2〜3名というケースが多いため、動画による説明の自動化は人員不足を直接補う手段になります。3つ目は、現物を持ち込めない大型設備や導入現場を見せられることです。製造ラインや建設現場の施工実績、工場の内部環境など、ブースに展示できないものを映像で疑似体験させることで、カタログや写真だけでは伝わらないスケール感や品質を訴求できます。4つ目は展示会後の二次利用でROIを最大化できることです。ブース用に制作した動画は、そのままWebサイトに掲載し、YouTubeに公開し、営業メールに添付し、SNS広告に転用できます。展示会が終わった翌日から、動画は営業ツールとして継続的にリードを生み続けます。5つ目はアフタームービーによるブランディングと次回集客です。展示会当日の活気あるブースの様子を映像として残し、お礼メールに添付すれば来場者の記憶に自社を定着させられます。さらにその映像を翌年の出展案内やSNSで再利用すれば、次回の来場者数を増やす材料にもなります。展示会で使う動画は1種類ではありません。展示会の「前」「当日」「後」の3つのフェーズに合わせて、異なるタイプの動画を使い分けることで成果が最大化します。
# | 動画タイプ | 推奨尺 | 使うタイミング | 主な目的 |
|---|---|---|---|---|
1 | ティザー(告知)動画 | 15〜30秒 | 展示会2〜4週間前 | SNS・メルマガでブース来訪を促進 |
2 | 会社紹介・ブランドムービー | 60〜90秒 | ブース常時ループ再生 | 来場者に30秒で企業の全体像を理解させる |
3 | 商品デモ動画 | 60〜180秒 | ブースモニター+タブレット | 製品の仕組み・使い方を視覚的に説明 |
4 | 導入事例・お客様の声 | 60〜120秒 | ブース+営業資料+Web | 第三者の声で信頼性を担保し商談化率を上げる |
5 | 工場・施工現場ルポ | 60〜180秒 | ブースモニター+Web | 持ち込めない大型設備や現場の実力を見せる |
6 | プレゼン・セミナー収録 | 5〜15分 | 展示会後のリード育成 | ブース内ミニセミナーを録画し後日配信 |
7 | アフタームービー(ダイジェスト) | 30〜90秒 | 展示会後1週間以内 | お礼メール添付・SNS投稿で印象を定着 |
8 | リード育成(ナーチャリング)動画 | 60〜180秒 | 展示会後1〜3ヶ月 | 名刺交換した見込み客にメールで段階配信 |
ティザー動画は展示会の告知専用で、ブース番号と「何が見られるか」を端的に伝える短尺の動画です。費用も低く内製でも十分対応できるため、まだ動画を使ったことがない企業が最初に試すには最適のタイプです。
会社紹介と商品デモはブースの「顔」となる動画で、展示会当日の来場者体験を左右します。この2本はプロに依頼してクオリティを担保することをおすすめします。
アフタームービーは、展示会当日のブースの活気やスタッフと来場者のやりとりを30〜90秒のダイジェストにまとめたもので、展示会後のフォローメールに添付することで開封率・クリック率の向上が期待できます。
展示会動画の効果を最大化するには、「事前の集客」「当日のブース体験」「事後のフォロー」を一貫した動画戦略として設計することが重要です。
事前フェーズでは、展示会の2〜4週間前にティザー動画を制作し、SNS広告とメルマガで配信します。動画にはブース番号と「当日の見どころ」を端的に盛り込み、ランディングページやメールフォームで来場予約を取得します。BtoB購買担当者の情報収集源として「展示会」は上位に入るものの、実際にブースを訪問するかどうかは事前の情報量で決まります。ティザー動画は「わざわざ行く理由」を作る役割を担います。当日フェーズでは、ブースのメインモニターに会社紹介と商品デモをループ再生し、通路を歩く来場者の足を止めます。スタッフが商談に入ったら、タブレットで導入事例や工場ルポの動画を見せながら具体的な話を進めます。また、ブース内でミニセミナーを実施する場合は、その様子をスマートフォンの三脚固定で録画しておきます。この録画素材は事後フェーズで大きな価値を持ちます。事後フェーズでは、展示会終了後1週間以内にアフタームービーを完成させ、お礼メールに添付して配信します。名刺交換したもののまだ商談に進んでいないリードには、1ヶ月目に導入事例動画、2ヶ月目に商品デモ動画、3ヶ月目にセミナー録画と、段階的にメールで動画を配信するステップメールを組みます。各メールに動画のサムネイル画像とリンクを入れることで、テキストだけのメールに比べてクリック率が向上します。このように「事前→当日→事後」をひとつながりの導線として設計することで、展示会1回あたりのリード獲得数と商談化率を従来比で引き上げることができます。
四国・岡山エリアのBtoB企業が、実際にどのような場面で展示会動画を活用できるのか、業種ごとに具体的なイメージを示します。
製造業は岡山・愛媛を中心に機械・金属加工・化学の事業所が多く、展示会動画との相性が最も高い業種です。たとえば工場の製造ラインを2分の動画に収め、切削加工の精度や品質管理体制を映像で見せることで、ブースに持ち込めない大型設備の実力を来場者にリアルに伝えられます。展示会後には営業担当が「この動画を先にご覧ください」と商談前にメールで送ることで、訪問前の理解度が上がり商談時間の短縮にもつながります。
食品メーカーは香川・徳島に特産品や加工食品のメーカーが集積しています。岡山県展示大商談会やビジネスフェア中四国のようなバイヤー向け展示会では、試食と動画の合わせ技が有効です。製造工程の衛生管理体制や、原材料の産地・こだわりを60秒の映像にまとめてモニターで再生すれば、試食で「美味しい」と感じたバイヤーに「安全性と品質管理も万全」という安心感を映像で補強できます。
IT・ソフトウェア企業はSaaSのデモ画面を画面収録とナレーションで解説した動画が効果的です。展示会ブースでは短い時間で機能の全体像だけを見せ、来場者がブースを離れた後にメールで詳細なデモ動画のリンクを送れば、相手のペースで機能を復習してもらえます。ソフトウェアは実物を手に取れないため、動画が「体験の代替」として機能します。
建設資材・住設メーカーは高知・香川に多く、施工事例のビフォーアフター動画がブース集客に直結します。建材のカタログ写真だけでは伝わらない質感や施工後の仕上がりを映像で見せることで、現場監督や設計者の購買意欲を高められます。
農業・水産加工は四国全域の一次産業が対象です。産地の風景、生産者の想い、加工場の環境を60秒のショートムービーにまとめれば、商社やバイヤーへの信頼醸成ツールとして展示会だけでなくWebサイトや商談資料にも長期間使えます。
展示会動画はすべてを外注する必要はなく、動画タイプによって内製と外注を使い分けるのが合理的です。
動画タイプ | 内製向き | 外注向き | 理由 |
|---|---|---|---|
ティザー(15〜30秒) | △ | ◎ | イメージによっては高度な編集技術が求められるため |
会社紹介(60〜90秒) | △ | ◎ | 対外的な企業イメージに直結。プロの演出が効く |
商品デモ(60〜180秒) | ○ | ○ | 自社製品に詳しい人が撮影すると良いが、図解やCGが必要なら外注 |
導入事例(60〜120秒) | △ | ◎ | インタビュー撮影・編集はプロに任せたほうが品質が安定する |
工場・現場ルポ(60〜180秒) | ○ | ○ | スマホ+ジンバルで撮れるが、高品質仕上げなら外注 |
アフタームービー(30〜90秒) | △ | ◎ | 展示会当日はブース運営で手が空かないため、カメラマンを手配するほうが確実 |
セミナー収録(5〜15分) | ◎ | △ | 三脚固定のカメラで録るだけなので内製で十分 |
ポイントは、「来場者や取引先の目に触れる対外的な動画」は外注でクオリティを担保し、「社内準備や記録目的の動画」は内製でスピードとコストを優先するという使い分けです。
初めて展示会動画を導入する場合のおすすめは、「会社紹介+商品デモの2本を外注、ティザーとセミナー収録は内製、アフタームービーはカメラマン1名だけ手配」という組み合わせです。このハイブリッド型であれば、外注費を30〜60万円に抑えつつ、展示会の全フェーズを動画でカバーできます。
展示会動画の外注を検討する際に把握しておくべき費用相場を、動画タイプ別に整理します。
動画タイプ | フリーランス | 制作会社(中〜大手) | 含まれる工程 |
|---|---|---|---|
ティザー(15〜30秒) | 5万〜20万円 | 10万〜50万円 | テンプレート編集、テロップ、BGM |
会社紹介(60〜90秒) | 15万〜30万円 | 30万〜100万円 | 企画+撮影+編集+ナレーション |
商品デモ(60〜180秒) | 10万〜30万円 | 20万〜80万円 | 撮影+テロップ+図解アニメーション |
導入事例(60〜120秒) | 10万〜30万円 | 20万〜80万円 | インタビュー撮影+編集 |
工場・現場ルポ(60〜180秒) | 15万〜30万円 | 30万〜80万円 | ロケ撮影(半日〜1日)+編集 |
アフタームービー(30〜90秒) | 5万〜15万円 | 10万〜40万円 | 当日撮影+ダイジェスト編集 |
セミナー収録(5〜15分) | 5万〜15万円 | 10万〜30万円 | 固定カメラ収録+簡易編集 |
展示会向け実写動画の一般的な費用相場は、1本あたり40万〜200万円とされています。
アニメーション動画の場合は50万〜300万円、3DCGを含む高品質映像になると300万円を超えるケースもあります。
四国・岡山のローカル制作会社に依頼する場合、東京の制作会社と比べて出張費・スタジオ費が不要、もしくは大幅に抑えられるため、上記相場よりも20〜30%程度安く収まるケースが多くあります。
複数の動画をまとめて発注する場合はボリュームディスカウントが効きます。たとえば「会社紹介1本+商品デモ1本+アフタームービー1本」の3本セットであれば、個別に発注するよりも1本あたりの単価を15〜25%下げられるのが一般的です。ローカル制作会社で3本セット40万〜150万円が現実的な価格帯です。
展示会動画の外注でよくある失敗は、「展示会に間に合わなかった」「完成した動画がブースのモニターで再生できなかった」「展示会が終わったら使い道がなくなった」の3パターンです。これらを防ぐために、発注から納品まで5つのステップを押さえてください。
ステップ1:展示会の日程から逆算してスケジュールを引く
展示会動画の制作には、企画から納品まで通常4〜8週間が必要です。理想的なスケジュールは、展示会8週間前に制作会社へ発注、6週間前に構成案(絵コンテ)確認、4週間前に撮影実施、2週間前に完成・納品です。直前の発注は修正の余地がなくなるだけでなく、特急料金が発生してコストも膨らみます。展示会の出展が決まった時点で制作会社への相談を始めるのがベストです。
ステップ2:「誰に・何を・どう感じてもらうか」を1文で定義する
動画の方向性を社内で言語化してから制作会社に伝えます。たとえば「自動車部品の購買担当者に、当社の切削加工精度の高さを、工場映像を通じて信頼できると感じてもらう」のように、ターゲット・訴求ポイント・期待する感情の3要素を1文にまとめます。この1文がぶれると、制作会社の提案も的外れなものになり、修正の回数が増えます。
ステップ3:制作会社にブースレイアウトとモニターサイズを共有する
展示会のブースに設置するモニターのサイズと向き(横置き・縦置き)、再生方法(USBメモリ・PC接続・HDMI入力)によって、動画の最適なアスペクト比、テロップの文字サイズ、音声設計が変わります。ブース施工会社から受け取った図面を制作会社に共有するだけで、「現場で再生してみたらテロップが小さくて読めない」というトラブルを防げます。
ステップ4:構成案(絵コンテ)段階で営業現場の責任者がレビューする
展示会で来場者から実際に聞かれる質問を知っているのは営業担当であり、制作会社ではありません。構成案の段階で営業責任者がレビューし、「来場者が一番知りたいポイント」「競合と比較されたときの差別化要素」が動画に含まれているかを確認します。撮影後に「ここが違う」と気づいた場合、撮り直しの費用と時間が発生するため、このタイミングでの確認が最もコストの低い修正機会です。
ステップ5:納品時に「展示会後の二次利用」バージョンも依頼しておく
ブース用の動画をそのままWebに載せると、テロップが大きすぎたりアスペクト比が合わなかったりする場合があります。発注段階で「ブース用(大画面・テロップ大)」「Web用(16:9・字幕付き)」「SNS用(9:16・15秒ダイジェスト)」の3バージョンを同時に依頼しておけば、追加の編集費は本体費用の10〜20%増で済み、展示会後のROIが数倍になります。
展示会動画は「展示会当日までに間に合わせる」という絶対的な締切があるため、制作会社選びの基準は通常のプロモーション動画よりもシビアになります。以下の10項目を、見積もり比較の際にすべて確認してください。
# | チェック項目 | 確認すべき理由 |
|---|---|---|
1 | BtoB展示会向け動画の制作実績があるか | プロモーション映像と展示会向け動画では設計思想が異なる。ブース環境を理解しているか |
2 | 自社と同業種(製造・食品・IT等)の理解度 | 業界用語や商流を知らない制作会社では、企画段階から認識のズレが生じる |
3 | 展示会当日のオンサイト撮影に対応できるか | アフタームービー用の当日撮影は、スケジュール調整が必要。事前に対応可否を確認 |
4 | 四国・岡山への撮影ロケ対応と出張費 | 地元の制作会社なら出張費不要。東京の制作会社なら交通・宿泊費が別途上乗せ |
5 | 複数バージョン(ブース用・Web用・SNS用)の納品に対応できるか | 1つの素材から3バージョンをまとめて制作できれば追加費用を最小化できる |
6 | モニター再生用のファイル形式・解像度を指定できるか | ブースモニターがUSB再生かPC再生かで最適なフォーマットが変わる |
7 | 修正回数の上限と追加費用の条件 | 展示会直前に「やっぱりここを直したい」は頻発する。修正条件の事前確認が必須 |
8 | 納期の確実性と遅延時の対応 | 展示会の日程はずらせない。中間納品の設定やバックアッププランを確認 |
9 | 撮影素材の所有権と二次利用の許諾 | 元データ・撮影素材を受け取れるか。次回の展示会で再編集できるか |
10 | 補助金申請のサポート経験 | 展示会出展費と動画制作費をまとめて補助金申請する際の見積書作成アドバイスが可能か |
特に8番目の「納期の確実性」は展示会動画特有のリスクです。展示会の会期は動かせないため、万が一制作が遅れた場合に備えて、中間納品(撮影完了時点で一度確認)を設けるか、最悪のケースでも本編だけは展示会3日前までに受け取れるスケジュールを制作会社と書面で合意しておくことをおすすめします。
制作会社に見積もりを依頼する段階で、以下の素材を手元に揃えておくとヒアリングの回数が減り、企画の精度が上がります。すべてが完璧に揃っている必要はありませんが、「あるもの」を渡すだけで制作会社の提案スピードと質が大きく変わります。
準備物 | 具体的な内容 | なぜ必要か |
|---|---|---|
展示会名・日程・ブース番号 | 出展申込書のコピーでOK | ティザー動画やアフタームービーに展示会情報を明記するため |
ブースレイアウト図+モニターサイズ | ブース施工会社から受け取る図面 | 動画のアスペクト比・テロップサイズを設計する基礎情報 |
製品カタログ / パンフレット | PDF or 現物 | 動画で訴求すべき製品スペック・特長を整理するベース資料 |
過去の展示会写真・動画素材 | スマホで撮影したものでOK | 制作会社がブースの雰囲気と規模感を把握できる |
競合他社のブース動画(参考用) | YouTube等のURL | 「こうしたい」「こうはしたくない」の認識合わせに使う |
営業トークの要点メモ | 箇条書きでOK | 来場者によく聞かれる質問=動画で答えるべき内容そのもの |
ロゴ・ブランドカラー | AI/PNGファイル+カラーコード | テロップ・エンドカードのデザインをブースや名刺と統一するため |
工場・現場の撮影許可確認状況 | 撮影可能エリア・NG箇所のメモ | ロケ撮影の段取り短縮と機密設備の映り込み防止 |
特に「営業トークの要点メモ」は見落とされがちですが、非常に重要な素材です。展示会ブースで来場者が最も頻繁に聞く質問こそ、動画のメインメッセージにすべき内容だからです。営業担当者に「展示会で聞かれるTOP5の質問」をヒアリングし、箇条書きにして制作会社に渡すだけで、的を射た企画が上がってきます。
動画を制作した後、展示会当日にブースで確実に再生し、来場者の目に届けるための機材選定と設置のポイントを整理します。
項目 | 推奨仕様 | 注意点 |
|---|---|---|
モニターサイズ | 1小間(3m×3m)なら43インチ、2小間以上なら55インチ | 大きすぎるとブース面積を圧迫。パネルとのバランスを考慮 |
設置位置 | 通路側の壁面に壁掛け or スタンド設置 | 通路を歩く人の目線の高さ(150〜160cm中心)に合わせる |
再生方式 | USBメモリ再生(モニター内蔵メディアプレーヤー)が最も安定 | PC再生はOSのアップデートやスリープでフリーズするリスクあり |
予備 | USBメモリを2本用意。動画ファイルのコピーをクラウドにも保存 | 当日のメモリ紛失・破損に備える |
音声 | テロップだけで内容が伝わる設計に。音声はBGM程度の音量に抑える | 展示会場は常に騒がしい。隣のブースへの音漏れも配慮が必要 |
ループ再生 | 動画の末尾に2〜3秒の黒画面(またはロゴ静止画面)を挿入し、ループの切れ目を自然にする | 自動再生・リピート設定を本番3日前までに実機でテスト |
タブレット(商談用) | iPadに個別の商品デモ・導入事例動画を格納 | 商談中に来場者と一緒に画面を見る用途。ブースモニターとは別の動画セットを入れておく |
ブース施工会社にモニターのレンタルを依頼する場合は、型番と入力端子(HDMI / USB)、対応ファイルフォーマット(MP4 / MOV等)を事前に確認し、制作会社にも共有してください。展示会当日の朝に「USBを挿したのに再生されない」というトラブルは、この事前確認だけで回避できます。
1小間のコンパクトなブースでも、43インチのモニター1台と商談用のタブレット1台があれば動画活用は十分に成立します。大がかりなLEDウォールや複数画面の演出は2小間以上の予算がある場合に検討すれば良く、まずは「モニター1台+動画2本」で始めるのが現実的です。
展示会で獲得した名刺やリードを商談に結びつけるフォローアップにおいて、動画は強力な武器になります。BtoBマーケティングの調査では、獲得したリードに「獲得直後にすべて架電できている」企業はわずか25.6%にとどまり、多くの企業がリードのフォロー不足によって商談機会を逃しています。動画を使ったフォローは、電話がつながらない相手にも情報を届けられるため、商談化率の底上げに直結します。
展示会終了後1〜3日以内に送るお礼メールには、アフタームービーまたは会社紹介動画のリンクを添付します。テキストだけのお礼メールに比べて、動画のサムネイル画像が入ったメールはクリック率が高くなる傾向があります。動画を視聴した相手は自社のブースの記憶が鮮明に残るため、後日の電話やメールに対する反応も良くなります。
名刺交換したもののまだ商談に至っていないリードに対しては、ステップメールの形式で動画を段階配信します。1ヶ月目は導入事例動画で「他社はどう使っているか」を見せ、2ヶ月目は商品デモ動画で「具体的にどう役立つか」を深掘りし、3ヶ月目はセミナー録画で「業界の課題と解決策」を伝えます。情報を段階的に深めていくことで、相手の検討フェーズに合わせたアプローチが可能になります。
ブース用に制作した動画のWebサイトへの掲載も忘れてはいけません。商品デモ動画や導入事例動画を自社サイトの製品ページに埋め込めば、サイトの滞在時間が伸び、検索エンジンからの評価向上も期待できます。YouTubeに公開する場合は、展示会名+製品名+業界用語をタイトルと説明文に含めることで、ニッチなロングテールキーワードでの検索流入を狙えます。
SNSへの転用も有効です。LinkedInやXにティザー動画の再編集版やアフタームービーの短尺版を投稿すれば、展示会に来られなかった層にもリーチできます。この投稿はそのまま次回の展示会の事前告知素材としても機能します。
営業活動への組み込みも見逃せません。BtoBの購買担当者の7割は営業担当者との接触前に情報収集を終えているとされています。商談のアポイントを取る前に「まずこの2分の動画をご覧ください」とメールで送るだけで、訪問時の前提知識が揃い、商談の質と効率が格段に上がります。
このように、展示会のために制作した動画は「展示会で使って終わり」ではなく、Webサイト、YouTube、SNS、営業メール、ステップメールと複数のチャネルに転用することで、投資対効果を何倍にも引き上げることができます。
展示会動画の導入効果を数値で把握するためのKPIを設定します。展示会の「前」「当日」「後」のフェーズごとに計測すべき指標を整理しました。
フェーズ | KPI | 計測方法 | 目標の目安 |
|---|---|---|---|
事前 | ティザー動画の再生回数・クリック率 | SNS広告管理画面 / メール配信ツール | 再生1,000回以上、クリック率2〜5% |
当日 | ブース来場者数(名刺獲得数) | 手動カウント / リードスキャナー | 動画導入前比+20〜30% |
当日 | 動画による足止め効果 | ブーススタッフの体感記録 | 通過者が3秒以上足を止める頻度の向上 |
事後 | お礼メールの開封率・動画クリック率 | メール配信ツール(Mailchimp等) | 開封率30%以上、動画リンクのクリック率3〜5% |
事後 | 展示会後の商談化率 | CRM / 営業日報 | リード→商談化率5〜10%(展示会平均1〜5%超え) |
事後 | 動画のWeb再生回数 | YouTube Analytics / サイト解析 | 展示会後3ヶ月で累計500〜3,000回 |
事後 | 動画経由の問い合わせ数 | Webフォーム / 電話での「動画を見た」ヒアリング | 月3〜10件 |
初めて動画を導入する場合は、すべてのKPIを一度に追跡しようとせず、まずは「名刺獲得数(当日)」と「お礼メールのクリック率(事後)」の2つだけに絞って計測を始めるのが現実的です。この2指標だけでも、動画の有無で数値に差が出ているかを判断でき、次回の展示会に向けた改善材料になります。
展示会の出展費用と動画制作費用は、複数の補助金・助成金の対象となる可能性があります。展示会出展と動画制作をセットで申請できる制度もあるため、出展が決まった時点で補助金の情報を収集しておくことをおすすめします。
制度名 | 管轄 | 補助率 | 上限額 | 主な対象経費 | ポイント |
|---|---|---|---|---|---|
小規模事業者持続化補助金 | 中小企業庁 | 2/3 | 最大250万円 | 展示会出展料(展示会等出展費)+動画制作外注費(委託・外注費)+チラシ(広報費) | 展示会と動画をセットで申請可能。最もハードルが低い |
新事業進出・ものづくり補助金 | 中小企業庁 | 1/2〜2/3 | 750万〜9,000万円 | 設備投資+広告宣伝費 | 新製品の展示会プロモーションを大規模に行う場合 |
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金) | 経産省 | 1/2〜2/3 | 最大450万円 | 動画配信システム・MA/CRMツール | 展示会後のリード育成をデジタル化する場合のツール導入費 |
各自治体の展示会出展補助金 | 県・市 | 1/2程度 | 5万〜150万円 | 出展料・ブース装飾費・動画制作費 | 香川県・岡山市・各商工会議所が独自制度を設けている場合あり。要確認 |
人材開発支援助成金 | 厚労省 | 経費45〜75% | ― | 営業研修の一環として動画活用スキルを学ぶ費用 | 動画制作そのものではなく「動画を使った営業力強化研修」として申請 |
補助金を活用した費用モデルを具体的に示します。たとえば展示会出展料20万円+ブース用動画制作(会社紹介+商品デモ+アフタームービーの3本セット)50万円+チラシ印刷5万円=事業費75万円の場合、小規模事業者持続化補助金(補助率2/3)を適用すると補助額は50万円となり、自己負担は25万円です。(小規模事業者の場合)
ただし補助金はすべて精算払い(後払い)方式のため、事業費75万円の全額をいったん自社で支払い、事業終了後の実績報告を経て数ヶ月後に補助金が振り込まれる流れです。キャッシュフローに余裕を持たせるために、補助金の入金時期を見越した資金計画を事前に立てておく必要があります。
自治体の展示会出展補助金は、補助額こそ小さいものの申請の手間が比較的少なく、商工会議所が窓口になっているケースが多いため、まず地元の商工会議所に「展示会出展の補助制度はありますか」と問い合わせるのが最初の一歩です。
展示会動画で成果が出ない企業に共通するパターンを5つ挙げます。いずれも事前の備えだけで回避可能です。
1つ目は「動画を作ったがブースのモニターで再生できなかった」というトラブルです。展示会当日の朝に発覚すると取り返しがつきません。納品前にブース施工会社からモニターの型番・入力端子・対応フォーマットを確認し、USBメモリでの再生テストを本番の3日前までに完了させてください。予備のUSBメモリも必ず用意します。2つ目は「音声が会場の騒音にかき消された」パターンです。展示会場は常に周囲のブースの音声やBGMで騒がしく、自社のブースの音声が聞こえないことは珍しくありません。動画はテロップだけで内容が100%伝わる設計にし、音声はあくまでBGMとして「見ている人の体験を補強する」程度の位置づけにします。スピーカーの音量を上げすぎると隣のブースとのトラブルにもなりかねません。3つ目は「商品デモ動画が長すぎて来場者が離脱する」パターンです。ブースで流す動画は60〜90秒が上限です。展示会の来場者はブース前を通り過ぎる数秒間で「足を止めるか・素通りするか」を判断しています。冒頭3秒で製品の核心的な強みや視覚的なインパクトを見せ、残りの時間でスペックや導入メリットを補足する構成にします。詳しい説明はタブレットの個別動画や営業トークに任せ、メインモニターの動画はあくまで「足止め装置」と割り切ることが重要です。4つ目は「展示会のためだけに作って、終了後に使わなかった」パターンです。前述のとおり、展示会動画の真価は二次利用にあります。発注段階で「ブース用」「Web用」「SNS用」の3バージョンを同時に制作しておけば、追加の編集費は本体費用の10〜20%増で収まります。この20%の追加投資で、動画のROIは何倍にもなります。5つ目は「アフタームービーを撮り損ねた」パターンです。展示会当日はブースの運営で全員が手一杯になり、撮影どころではなくなるのが現実です。フリーランスのカメラマンを1名(5〜15万円/日)だけ手配するか、制作会社にオンサイト撮影を含めたパッケージで発注しておけば、確実にアフタームービー用の素材を確保できます。当日の臨場感ある映像は後から撮り直すことができないため、この投資は惜しまないことをおすすめします。Q1. 展示会ブースで動画を流すのに最適な尺はどのくらいですか?
ブースのメインモニターでループ再生する場合、1本あたり60〜90秒が目安です。来場者がブース前を通過する時間は数秒から十数秒であり、その短い時間で「何の会社か」「何を扱っているか」を伝える必要があります。詳しい商品説明は2〜3分の個別デモ動画をタブレットに入れておき、商談中に見せる運用がおすすめです。
Q2. モニターは自分で用意するべきですか?それともレンタル?
ブース施工会社にモニターのレンタルを依頼するのが最も一般的です。43インチモニター+スタンドのレンタル費用は1日あたり1〜3万円程度(3日間の展示会で3〜9万円)です。自社でモニターを所有している場合は持ち込みも可能ですが、輸送中の破損リスクと設置の手間を考慮するとレンタルのほうが合理的なケースが多いです。
Q3. 動画の音声は出したほうがいいですか?
基本的にはテロップだけで内容が伝わる設計にし、音声は控えめのBGM程度に抑えるのがベストです。展示会場は騒がしく、音声が聞き取れないケースが大半です。来場者が足を止めてくれた段階で、イヤホン付きのタブレットやスタッフの口頭説明で情報を補足する運用が現実的です。
Q4. ブースが1小間(3m×3m)でも動画は効果がありますか?
あります。むしろ1小間のコンパクトなブースだからこそ、動画が限られたスペースを有効活用する手段になります。43インチモニター1台を通路側に向けて設置し、会社紹介+商品デモのループ動画を流すだけで、スタッフが少なくてもブースの存在感を出せます。
Q5. 展示会の何週間前に制作会社に発注すればいいですか?
8週間前が理想です。発注→構成案確認→撮影→編集→納品→再生テストまでのフルプロセスに4〜8週間を見込んでください。ただし、テンプレートベースの簡易なティザー動画であれば2〜3週間前の発注でも間に合う場合があります。制作会社の繁忙期(年度末や大型展示会シーズン)と重なる場合はさらに余裕を持つ必要があります。
Q6. アフタームービーは本当に必要ですか?何に使いますか?
費用対効果の高い投資です。アフタームービーは展示会後のお礼メールに添付することで、来場者に自社ブースの記憶を定着させます。加えて、そのままSNSに投稿すれば展示会に来なかった潜在顧客にもリーチでき、次回出展時の事前告知素材としても再利用できます。1本5〜15万円(フリーランスの場合)で制作でき、2〜3回の再利用を考えれば十分に元が取れます。
Q7. 同じ動画を次の展示会でも使い回せますか?
制作会社との取り決めにもよりますが、会社紹介や工場ルポのように内容が大きく変わらない動画は、そのまま次回以降の展示会でも使えるケースが多いです。一方、ティザー動画は展示会ごとにブース番号や日程が変わるため、毎回作り替える必要があります。制作会社に初回発注する際に「次回展示会でのリピート利用」を前提に伝えておくと、汎用性の高い構成で制作してもらえます。また、撮影素材(元データ)を納品時に受け取っておけば、次回の展示会に合わせて部分的に再編集するだけで済み、費用を大幅に抑えられます。
Q8. 四国・岡山の制作会社と東京の制作会社、どちらに頼むのがいいですか?
地元での工場撮影やブース撮影が必要な場合は、四国・岡山の制作会社を第一候補にすべきです。出張費が不要で打ち合わせもしやすく、コスト面で20〜30%程度有利になります。一方、3DCGや高度なアニメーション、大手の展示会で東京ビッグサイト等でのオンサイト撮影が必要な場合は、東京の制作会社のほうが対応力が高いケースもあります。「撮影は地元の制作会社、特殊な編集だけ東京に外注」という分業も選択肢です。
Q9. 補助金で展示会出展費と動画制作費を一緒に申請できますか?
可能です。小規模事業者持続化補助金の場合、展示会の出展料は「展示会等出展費」、動画制作の外注費は「委託・外注費」、チラシ印刷は「広報費」とそれぞれの費目で計上し、1つの事業計画書にまとめて申請できます。事業費75万円(出展料20万+動画50万+チラシ5万)に対し補助額50万円(自己負担25万円)というモデルは、四国・岡山の小規模BtoB企業にとって現実的な規模感です。ただし精算払いのため全額を一度立て替える必要がある点にはご注意ください。
Q10. 動画を導入したことで展示会のリード数はどのくらい変わりますか?
業種やブースの規模によって差がありますが、動画なしのブースと比較してリード獲得数が20〜30%増加したという体感値を報告する企業が多いです。
特に通路沿いのモニターで「冒頭3秒のインパクトがある動画」をループ再生した場合、足を止める来場者の数に明らかな差が出る可能性が高いです。また展示会後のお礼メールに動画リンクを添付することで、メールのクリック率が従来比で向上し、そこから商談アポにつながるケースも増えます。定量的な比較をするなら、次回の展示会で動画を導入し、前回の展示会のリード数・商談化率と比較するのが最もシンプルな方法です。
四国・岡山のBtoB企業にとって、展示会は年に数回しかない対面営業の貴重な機会です。出展料、ブース装飾費、交通宿泊費、人件費を合算すると1回の出展に数十万円から百万円単位の投資が必要であり、その投資をどれだけの商談と受注に変換できるかが経営上の重要課題です。
動画は「事前のティザーでブースへの来訪を促し」「当日のモニター映像で通過者の足を止め」「事後のフォロー動画で商談化を加速する」三段活用によって、展示会のROIを最大化するツールです。さらに、展示会のために制作した動画はWebサイト、YouTube、SNS、営業メールに二次利用できるため、制作費の回収期間は展示会1回だけに限定されません。
まず着手すべきは、次回の展示会に向けて「商品デモ動画1本」と「アフタームービーの撮影手配」の2つです。商品デモ動画は来場者の足を止めるメインコンテンツとなり、アフタームービーは展示会後のフォローと次回集客の素材になります。制作会社への発注は展示会の8週間前が理想ですが、まずは見積もり依頼だけでも早めに動いておくことが重要です。
補助金を活用すれば、動画制作費と展示会出展費をセットで申請し、自己負担を事業費の1/3に抑えることも可能です。本記事の「失敗しない5ステップ」と「チェックリスト10項目」を手元に置いて、見積もり比較と構成案レビューを丁寧に進めてください。
株式会社Nokoでは、企画立案からキャスティング、撮影、編集、公開設計まで、動画制作を一貫して対応しています。
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